京都市立西京高校附属中学

11月2日(木)・5日(月)・9日(金)の3日間、京都市立西京高校附属中学で、「特別授業」が開催されました。2005年にはじまった「特別授業」は今年で14回目。11月2日と9日の授業は中学3年生全員が参加。5日の授業は各クラスに分かれて「特別授業」が行なわれました。

テーマ講師
君たちはなぜ学ぶのか西村和雄・神戸大学特命教授/京都大学名誉教授
経済と環境問題内藤登世一・京都学園大学教授
経済学から考える食糧問題上須道徳・大阪大学准教授
人類の経済活動の規模と地球生態系の扶養能力和田喜彦・同志社大学教授
経済入門大竹文雄・大阪大学教授

君たちはなぜ学ぶのか西村和雄・神戸大学特命教授/京都大学名誉教授

「なぜ勉強しなければいけないのか」そして「何を勉強したらいいのか」という疑問をもったことはありませんか。また、「正直者は損をする」と思ったことはないでしょうか。今回の講義で、経済学の話をまじえながら、一緒に考えてみましょう。

<生徒の「感想」から>
「すべての原点は生日だと思いました。何を生部にしても、それは自分のため、周りのため、国のためになり、良い方向へと導くことになると思います。現在、ゆとり教育を抜けた日本は、これから賢くなるかもしれませんが、発展していくとは限りません。まず、学びたいと思う意欲や目標が大切だと思います。日本に衰退を停めるのは自分たちの世代だと思っています。かつて日本が急成長したように、また世界の上位に立てるよう努めていきたいです。」(S・F)

経済と環境問題~環境を守る経済政策内藤登世一・京都学園大学教授

一般に、経済が発展すると環境問題が起こるため、経済は環境を破壊する悪者だと思われがちです。しかし、実際には逆に経済が環境を守ることもできるのです。そのことを、経済学の考え方を通して理解することを目的とします。環境問題が起こる原因について考えることから始め、いくつかの経済学の原理やアイデアを紹介しながら、環境を守るための経済政策について解説します。最後に、生徒諸君が企業者になって実際に「排出量取引」を体験し、そのしくみや優れた利点についての理解を深めます。


<生徒の「感想」から>
「私たちは大気や空気を自由に使っていいと勝手に思いこんでいるけど、使用しているのは大気側からのサービスだというのはなるほどもっともだと痛感しました。また排出するCO2に値段をつけるという発想には驚きました。「排出量取引」の体験学習をすることで、経済的政策の長所を実感するとともに、取引後CO2の排出量が1/2になり、費用も大幅に削減されたことがわかり大きな感動を覚えました。」(Y・K)

経済学から考える食糧問題上須道徳・大阪大学准教授

食糧は私たちが暮らしていくうえで欠かせません。日本では肥満が問題になるなど飽食にありますが、世界には飢えに苦しんでいる人が10億人以上いるといわれています。一方、日本は多くの食糧を外国に依存していますが、今後、世界の食糧の需要は急増するといわれています。この授業では、これら状況を食糧問題として考え、その現状について経済学の視点から学びます。


<生徒の「感想」から>
「肥満はお金持ちの問題だと思っていたが、安いファストフードに頼っているために太るという貧困の問題でもあることがわかった。また、世の中にはいろいろな経済学者がいろいろな方法で、いろいろな問題を目に見えるようにデータ化していることがわかった。……所得の向上によって食事の内容が穀物→肉・乳製品に移行すると、同じエネルギーを得るのに肉は7倍の穀物を餌として必要なので、穀物需要は人口増加よりも速いスピードで増えるという事実に驚いた。」(K・N)

人類の経済活動の規模と地球生態系の扶養能力:エコロジカル・フットプリントを使って考えてみよう和田喜彦・同志社大学教授

世界の経済規模は拡大し続け、エネルギーの使用量や食料の消費量が増加の一途をたどっています。太平洋クロマグロやニホンウナギのように捕り過ぎが原因で資源量が急に減っている魚たちが目立ってきました。「経済活動が活発になることによって地球生態系に負担をかけすぎているのでは?」「今のような行け行けドンドンの経済運営が続いたならば健全な地球生態系は維持できなくなるのでは?」といった疑問をもったことはありませんか。エコロジカル・フットプリントはこうした疑問に科学的に答えるためにつくられた環境負荷のものさしです。

<生徒の「感想」から>
「先進国と発展途上国の生活がまったく違うことは知っていたけれど、実際に数値で見てみると、信じられないくらい違っていて、発展途上国が先進国の恩恵を受けているのではなく、むしろその逆で発展途上国のおかげで地球が成り立っていると感じました。人類は便利さを追求していく生物ではあるけれど、他の国々や地球と共存していかなくてはならないので、もっと危機感をもって、エコへの関心を深めていくべきっだと思いました。」(A・C)

経済入門大竹文雄・大阪大学教授

「社会はこれから先どのようになっていくのだろうか」、という疑問をもったことはありませんか。また、「どうすれば、この社会の中でうまく生きていけるだろうか」という疑問はどうでしょうか。こうした疑問に答えるためには、私たちの社会がどういう仕組みで動いているか、私たち人間はどういう行動をとるのかを理解する必要があります。つまり、経済の考え方を理解することです。この講義はその第一歩です。


<生徒の「感想」から>
「私の中の当たり前が崩された感じでとても面白かった。……今回の授業の中で一番印象深かったのが「サンクコスト」です。私は終わってしまったことに対して後悔することが多いし、それで立ち直れないこともあるけど、それはもう終わったことだと開き直って、これからのことを考えるほうが自分にとって有意義な時間を過ごすことができると聞いて、なるほどと思いました。」(S・K)